印鑑を永く使うためのお手入れと保管

朱肉は、色を産み出す鉱物素材に松脂や木蠟、ひまし油などの油脂を溶かして加え、和紙や蓬を加えて練り固めたものです。これら朱肉の素材のうち、油脂分は印鑑にとって曲者です。朱肉をつけすぎますと、印面の凹みに詰まったまま固まって印影を変えてしまいますし、印材によっては変質の原因になります。

ですから、捺印の際には印面を肉池には軽く当てて朱肉のつけすぎを防ぎ、紙面に強めに当てて捺印した後はティッシュなどで軽く拭き取りましょう。時々、使い古しの歯ブラシなどで軽く擦ってから布で軽く拭き取りますと、拭き残しの朱肉も除去できます。

いずれの作業も力を入れないで軽く行い、印面を傷つけないように注意しましょう。象牙に限っては水洗いに耐えますが、洗浄後は丁寧に水分を拭き取ることを忘れてはいけません。乾燥にも強いので扱いやすいですが、極端な温度変化のある場所での保管は避けましょう。

黒水牛やオランダ水牛などの角を用いたものは、印面にオリーブオイルなど天然オイルを数滴落として軽く拭き取ると汚れを掃除できます。乾燥や温度変化によってひび割れてしまいますし、牛角を食べる虫がついて傷むこともありますので、必ず専用ケースに入れて保管しましょう。

本柘など木材を用いたものは、長年使っていますと縁などの細かな個所から朱肉の油脂分で変質し、脆くなりやすいです。捺印ごとに印面を丁寧に拭き取りましょう。保管においても、他の天然印材同様、専用ケースに入れた上で温度や湿度の変化の激しくない場所を選びましょう。

大切な印鑑ですから、それぞれの印材に合ったお手入れと保管を心がけ、永く使いましょう。

さまざまな印鑑